短編物語

短編物語

『詩を唄う悪魔』

第1章

『はじまり』

俺はイスラエルの北部で産まれた。

神父(ちち)は何時も優しかった。

何時も俺を許してくれた。

ある日、些細な行き違いで神父を死なしてしまった。




俺は罪を告白した。

『神父よ。許せ。神よ。何でもする。この俺の生命を使ってくれ。優しかった神父を返してくれ。』




天の声は擦りきれたテープの様にノイズが混じる不快な音響のようだった。




『お前の生命は使えない。お前は人間ではないではないか。生け贄には人間が必要だ。お前に人間になれるか?』




そこで思い出した。

俺はただ抱き締めようとしただけ。




許してほしくて。




その強大な力が最愛の神父を殺めてしまった。




途方に暮れる俺を神父の亡骸は満足気に見つめていた。




静かに抱き寄せ俺は泣いた。満月の明かりが胸を締め付けた。

声は間違いなく神父のものだった。

『良いんだ。息子よ。私は幸せだった。自分を責めるな。お前は私を救ってくれた。』

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